Statue #4
~スタチュー(人間彫刻)パフォーマンスとは?~

「人間彫刻」パフォーマンスについてのエッセイ。
 今回は、中村勘三郎さんとの出会いを綴ります。

#1:白リーマンの場合。
#2:いままで、こんなことを。
#3:「静止」と「停止」のちがい。
#4:中村勘三郎さんとの出会い。
#5:スタチューの演技:「じらし」と「ガマン」。

(今後の掲載予定)
#6:スタチューの演技:演技の「引き出し」

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第4回・中村勘三郎さんとの出会い


生きていると、時々おもいもがけないスゴいことが起こります。
積み上げた努力の結果などでなく、まったくの不意打ちで。

2011年の6月24日、僕は東京国際フォーラムの地上広場で
スタチュー
パフォーマンスをしていました。
お金を入れると動く、というルールですが、、、

100円以上だと、悦びます。
100円より少ないと、落ち込みます。
1000円札だと、台から降りて札の透かしを確認します。
まぁ、金額で感情的反応が変わるというゲームにしていました。

その日、横を向いたポーズでフリーズしていた僕の耳に、
500円玉が入る音が聞こえました。
(この頃は、見なくても音の違いで金額が分かりました)

おお、入ったぁと思いながら喜悦の表情で正面を向くと
そこに中村勘三郎さんが、笑顔でしゃがんでいました。

なにっ!?

眼前の光景が信じられませんでした。
自分が、日本でいちばん尊敬する芸人が目の前に!
それは時間にして2秒か3秒くらいだったでしょうか。
それから、勘三郎さんは、すうっとその場を離れて行かれました。

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『みんなーーーー、か、勘三郎さんだーーー』
興奮のあまり口をパクパクさせながら、(声には出さず)
雑踏に紛れてゆくその後ろ姿を指差してしまいました。

舞台でも映画でも何度も観ている方が、唐突もなく演技中の
自分の眼前に現れたことが良く分からず、そのときの500円は
使ってしまいました。お守りにすれば良かったかな。
しばらくして思ったのは、

「もう、同じものを見られたくないなぁ。
 もっと面白いものを、やりたいなぁ」

・・・そして今、自分はそれが出来ているでしょうか?
残念ながら、勘三郎さんは亡くなられました。
あの時みた面影も、記憶からだんだんとぼやけているのですが、
勘三郎さんのオーラは、僕の体に残っています。
それは、とってもとっても大きくて、優しいものでした。

(追記)
その後、この現場におられたお客さんから、勘三郎さんが
投げ銭のまえに僕の演技を楽しそうに見て、拍手をして
いたことをお聞きしました。
当時、勘三郎さんは僕が日本でもっとも尊敬する芸人さんでした。
・・・ありがとうございました。

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