魔除けの呪文

千葉真一さんが亡くなる1週間前に、映画「魔界転生」のラストシーンを真似た絵コンテを描いていました。自分の動画「耳なし芳一」のラストシーンで、梵字の魔除け呪文を顔に描いたらどうだろう、と。

すぐに『めんどくせー』と思いましたが、まさか千葉さんがコロナで他界されるとは。びっくりして、同時に絶対にやってやろうと思いました。

梵字の本を図書館で借りて、濃い液体墨を使って自ら鏡を使ってドローイング。実際に書いている時は、左右反転した字形をイメージしながらの筆運び。パラリンピックの中継を聞きながら一人黙々と変態的な作業をしていました。

そして、確信しました。「絶対に、耳だけ書き忘れるわけが無い」と。

出来上がった12分の動画は、こちらです。

電気怪談「耳なし芳一」

昨年の11月から10ヶ月近く時間をかけて作ってきた怪談動画、「耳なし芳一」をUPしました。
1人4役でキャラを演じ分け、テキストから作曲、撮影編集まで全てひとりでこなしました。

『古典怪談を、電気楽器のLOOP演奏をしながら語る』というコンセプトを立てたのが、昨年5月。
折りよく始まった文化庁の補助金を活用して知識ゼロから配信の勉強と機材の検索をしまくった夏を挟み、100万近くのお金で楽器や機材をひと揃えしたのが9月ごろ。
それから幾つかの動画を作り失敗と反省を繰り返して、ようやく今回ムネを張れる作品が出来ました。

最も時間をかけたのは中近東のスケールで作った音楽です。あのナウシカのテーマ曲も、これを使っていたのだと分かりました。僕はプロではありませんが、EQやコンプを使い分けてミキシングにも拘りました。

コロナ禍の中で、世界はすっかり狂ってしまいましたが、怪談のキング「芳一」を作り続けていたおかげで正気が保てました。

心血注いだ作品も、いまやSNSのタイムラインのネタとして秒殺で沈む世の中ですが、12分間、スマホやPC越しにこの動画をご覧頂けましたら、とても嬉しいです。